アミノ酸の話( LL誌Vol.37No.2、LL誌Vol.40No.2(発行所:社団法人 日本薬局協励会)引用)

1.アミノ酸とは?

アミノ酸は生命の源です。もちろん人間もアミノ酸からできています。
私たちの身体の約60%は水分です。そして残りの約40%のうち、約半分はアミノ酸からできています。
人の身体は、主にタンパク質と炭水化物(糖質)、脂質といった、いわゆる三大栄養素で機能しています。

タンパク質・・・内臓や血液、骨、筋肉、毛髪などの主成分であり、タンパク質によって体の組織そのものが作り上げられています。
炭水化物・・・身体を動かすためのエネルギー源となります。
脂質・・・・・・・炭水化物と同様にエネルギーを作り出します。

つまりタンパク質は、身体の組織そのものを作り上げている原材料です。そして、そのタンパク質を構成しているのがアミノ酸です。
10万種類に及ぶタンパク質は、わずか二十数種類の様々な組み合わせによるアミノ酸の組み合わせで作られています。これらに十数種類のアミノ酸
は、タンパク質の材料として使われるほか、必要に応じて身体のエネルギー源としても利用されます。


2.必須アミノ酸と非必須アミノ酸

体内でつくることができない必須アミノ酸

20数種類あるアミノ酸には、必須アミノ酸と非必須アミノ酸がありますが、特に重要なのが必須アミノ酸です。
非必須アミノ酸は体内でも作られますが、必須アミノ酸は体内でつくることができませんので、毎日の食事から摂取する必要があります。これらは、
ひとつでも不足すると、骨や血液、筋肉を作るのに必要なタンパク質を合成できないため、バランスよく摂ることが大切となります。

また、非必須アミノ酸は、必須アミノ酸と違い、身体の中で合成できるアミノ酸ですが、これもたんぱく質を合成する材料となったり、それ以外にも様々な働きをします。

必須アミノ酸 

リジン、フェニルアラニン、ロイシン、
イソロイシン、メチオニン、バリン、
スレオニン、トリプトファン、ヒスチジン 

非必須アミノ酸

アルギニン、グルタミン、プロリン、グリシン、
グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン
チロシン、セリン、アラニン、アスパラギン..etc


3.良質なタンパク質とは?

食品により9種類の必須アミノ酸を含む量は異なりますが、バランスよく含まれているのが良質のタンパク質です。この栄養価を基準化したのが「ア
ミノ酸スコア」です。
アミノ酸スコア 100
かつお、牛肉、豚肉、卵など 

アミノ酸スコア 90
チーズ、そば、ベーコン、しじみなど

アミノ酸スコア 80
豆腐、キウイ、さつまいも、昆布など 

アミノ酸スコア 70
いか、くるまえび、とうもろこし、しいたけ

アミノ酸スコア 60
ごはん、バナナ、じゃがいも、いちご 

アミノ酸スコア 50
キャベツ、きゅうり、ニンジン、りんご

アミノ酸スコア 40
うどん、食パン、玉ねぎ、トマト 

アミノ酸スコア 40未満
はくさい、即席めん、すいか、ぶどうなど

アミノ酸スコアとは?

身体にとって理想的な必須アミノ酸の量、組み合わせのバランスを評価して点数化したもので、必須アミノ酸のどれかひとつでも足りないと、その少
ないアミノ酸量に応じたタンパク質しかできません。

たとえば、他のアミノ酸の100%でもリジンが50%しかない場合、その食品のアミノ酸スコアは50クラスということになります。


4.食事とアミノ酸

私たちの身体を構成するタンパク質は、毎日合成と分解を繰り返しています。そのために必要なアミノ酸を摂る為に、毎日の食事は重要です。アミノ
酸をきちんと摂取することで、しっかりとした身体が作られます。しっかりとした身体ができれば、気になる「身体の不快症状」を改善する助けにな
ります。

アミノ酸が不足すると・・・・??

アミノ酸はタンパク質の材料になるほか、それぞれ独自の働きも持っています。これらが不足していくと、全身にトラブルが起こることも考えられます。

アミノ酸が不足することで起こる症状
●疲れやすい・・・●免疫力が低下し、風邪を引きやすくなる。・・・●しみや肌荒れが目立つ・・・●集中力がなくなる
●運動しても脂肪が燃焼しにくくなる。・・・●貧血やめまいを起こしやすくなる。・・・●お酒が抜けない・・・●筋力がアップしない・・など


そこで、上手に必要なアミノ酸を摂取することが大切になってくるというわけです!!
一般に動物性のタンパク質は必須アミノ酸が多くバランスもよく、体内での利用率が高いと考えられています。

また、植物性タンパク質にも、アミノ酸は豊富に含まれています。
但し、食品によっては、一部の必須アミノ酸が不足しているものもあります。食生活が偏りがちな現代人は、足りないアミノ酸をサプリメントなどで
バランスよく補うことも必要となります。

アミノ酸をより効果的に作用させるために

アミノ酸をより効果的に作用させるためには、カルシウム、ビタミン、ミネラルなどを摂取することが大切です。たとえば、タンパク質の一種である
コラーゲンの合成には、カルシウムやビタミンCが欠かせません。


5.免疫力アップ・アミノ酸

アルギニン、グルタミン

私たちの身体は、もともと備わっている免疫機能によって守られています。身体の中の免疫細胞が体内に侵入してきたウイルスを攻撃するというわけ
です。しかし、体力が低下すると、免疫細胞の働きが鈍くなり、風邪をひきやすくなったり、病気の回復が遅くなったりします。
アミノ酸の一種であるアルギニンには、ウイルスなどの病原体を無毒化するマクロファージを活性化させる作用があり、グルタミンは、免疫細胞の発
育と増殖を促進させる作用があります。
血中のアミノ酸濃度を高めて免疫力をアップすれば、感染症にかかる確率が軽減されます。
アミノ酸を上手に補給し、病気に強い身体作りに役立てましょう。
ビタミンA,C,Eを同時に摂取すると効果が高まります。


6.体力アップ・アミノ酸

ロイシン、イソロイシン、バリン、アルギニン、グルタミン
ロイシン、イソロイシン、バリンはBCAA(分岐鎖アミノ酸)と呼ばれ、スポーツ時のサプリメントとしてよく使われています。
BCAAは、筋肉内でエネルギー源として作用したり、傷ついた筋肉の修復もしてくれます。また、筋肉痛のもととなる乳酸の発生を抑える作用があ
るので、翌日に疲れを残さないという作用もあります。
身体に感じられる疲労感を緩和するほか、だるさやイライラ、倦怠感などの脳疲労を軽減させます。
激しい運動をするときは、筋タンパク質の合成を促進するアルギニン、消耗が著しいグルタミンも摂取するとよいでしょう。


7.集中力アップ・アミノ酸

チロシン、アルギニン、フェニルアラニン、イソロイシン、グルタミン、トリプトファン

チロシン、アルギニン、フェニルアラニン、イソロイシン、グルタミンの5種類のアミノ酸は、別名ブレーンアミノ酸とも呼ばれ、脳の働きを活性化
させ、集中力アップに格段の効果をもたらします。 脳の情報を伝達されるのを手助けしたり、記憶を長持ちさせる働きもあります。
また、脳内に神経伝達物質のセロトニンが大量に存在すると脳の活性が下がり、眠気や疲労を感じます。
ロイシン、イソロイシン、バリンは、セロトニンの原料となるトリプトファンの脳内への取り込みを阻害することでセロトニンの産生をおさえ、高い
集中力を維持できるようにする働きがあるといわれています。
特にチロシンは、脳の神経伝達物質ドーパミン、ノルアドレナリンなどカテコールアミン類の原料となるアミノ酸で、ストレス環境下での疲れ、眠気
を軽減し、作業効率を上昇させます。つまり脳の働きを活発化させ、集中力を高めるというわけです。頭をよく使って仕事をする人や受験勉強中の学
生さんにも特にお勧めのアミノ酸です。
頭をよく使って仕事をする人や、受験勉強中の学生にお勧めです!
トリプトファンは、脳をリラックスさせる神経伝達物質セロトニンの原料となり、脳の疲労を回復させ、特に集中しやすい状態をつくります。


8.脂肪燃焼促進・アミノ酸

リジン・プロリン・アラニン・アルギニン

メタボリックシンドロームの予防にアミノ酸が役立ちます。
脂肪を燃焼するのに効果的な有酸素運動も、運動前にアミノ酸を摂取した場合と、そうでない場合とでは違いがあります。同じ運動をするのなら効率
的にした方がよいのではないでしょうか。
「ウォーキングなどの有酸素運動を20分間続けることで、やっと脂肪が燃焼し始める」といわれるように、体内の脂肪が燃焼するには少し時間がか
かります。 そこで、この四つのアミノ酸を摂取することで脂肪を分解するのに欠かせないリパーゼという酵素を活性化し、血中の遊離脂肪酸を増や
します。このとき適度な運動をすると脂肪が効率的に燃焼されるため、ダイエットに効果的です。
また、アミノ酸をバランスよく摂取し運動することで、筋肉再生を促し、基礎代謝が高まり、消費エネルギーが増え、脂肪が効率よく燃焼します。ア
ミノ酸摂取で、より効率のよい運動を、いつもより長時間、負荷の高い運動が可能になり、その結果、効率的に脂肪が燃えるのです。
アミノ酸を摂取するのと同時にウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を行うことで、より早く脂肪を燃焼させることが出来ます。
空腹時や運動を始める30分前に服用すると効果的です。
ビタミンB群と併用するとより効果的です。


9.お肌のためのアミノ酸(肌再生力)・アミノ酸

プロリン、アルギニン、システイン、オルニチン

これらのアミノ酸は、コラーゲンを構成(ハリのあるお肌に)していたり、運びや細胞マトリックスの材料となり肌の新陳代謝を高め、より効果的に
肌を保湿(肌をしっとり)します。そして、紫外線の刺激で起こったメラニンの過剰生成を抑え(シミ・ソバカスの予防に)、活性酸素を除去(肌の
老化・くすみ予防に)する働きがあります。これによってシミや皮膚がんを予防することが出来ます。
また、健康的なみずみずしいお肌を保つには、角質層に十分な水分を保つことが必要で、天然保湿因子(ナチュラルモイスチュアファクター)がその
役目をします。
天然保湿因子はいくつかの成分から形成されますが、アミノ酸はとくに重要で、約40%がアミノ酸で構成されています。お肌にハリを与えるコラー
ゲンも様々なアミノ酸から作られます。
お肌のトラブルを持つ人の角質層は、健康的なお肌の人と比べてアミノ酸が不足しています。
コラーゲンを行き渡らせる働きのあるビタミンCや、コンドロイチンなどと併用するとより効果的です。
オルニチンやアルギニンの摂取は、細胞の増殖と成長に関与したり、肌の血流改善により肌の代謝を促進する効果があります。


10.アミノ酸のそのほかの効果

肝機能補助

グルタミン、アラニン

アミノ酸のなかでも、これら二つはアルコールを素早く分解する働きを持っています。また、これらは肝細胞再生のエネルギー源としても利用されて
いるので、ストレスや運動不足、過度なダイエットなどによって現代人が陥りやすい脂肪肝を修復する一助にもなります。
肝臓は、体内の「化学工場」と呼ばれ、生命に関わるとても大切な役割をいくつもしています。おもな働きは、栄養の代謝と貯蔵、解毒作用、胆汁の
生成などです。アミノ酸は、これらの働きを高めることが知られています。このためには、アミノ酸をバランスよくとることが必要になってきます。

糖尿病予防

アルギニン、アスパラギン、ロイシン、イソロイシン

これらのアミノ酸はすい臓からのインシュリンの働きを高めることによって、血糖値を低下させ糖尿病を改善します。特にアルギニンは糖化抑制作用
、抗酸化作用、一酸化窒素作用などにより糖尿病合併症を予防、改善します。

生活習慣病

アルギニン

アルギニンは身体のなかで一酸化窒素という大変重要な成分を生成します。
一酸化窒素は、血管をひろげ、血液が固まるのを防いで血液の流れをよくし、動脈硬化を防ぎます。つまり、アルギニンは一酸化窒素の産生を増やす
ことで高血圧を予防するだけでなく、動脈硬化、痴呆、骨粗しょう症、胃潰瘍、肝障害などの老化病(生活習慣病)を予防改善します。

髪補修効果

システイン、アルギニン

髪の主成分であるケラチンタンパクを構成しているのもアミノ酸です。
毛髪の主成分であるたんぱく質を構成しているのもアミノ酸です。アミノ酸を十分に摂取することは毛髪にも重要なことです。

貧血改善

鉄欠乏性貧血では、鉄分の多い食品をつとめて多く摂取するようにすることはもちろん大切ですが、「鉄」そのものの吸収は、きわめてよくありませ
ん。アミノ酸やビタミンCを同時に摂取することで鉄の吸収もよくなり、有効に利用されるようになります。
また、アミノ酸が不足すると、造血能力も低下することが知られています。アミノ酸を十分に摂取することも貧血改善のためには重要なことです。


11.アミノ酸Q&A

Q:アミノ酸が不足するとどうなるの?
アミノ酸が不足すると、身体にさまざまな変調が起こります。特に必須アミノ酸が欠乏すると、不眠症やイライラ、情緒不安定、免疫力の低下、低栄
養素状態や肌荒れなどを引き起こすことがあります。しかし、バランスのとれた食事をしている限り、アミノ酸が不足することはありません。

Q:食べ物とサプリメント、どちらで摂るのが効果的?
タンパク質は腸管でアミノ酸に分解されてから体内に吸収されるため、消化吸収に時間がかかります。アミノ酸は摂取するとそのまま吸収されるため
、タンパク質よりも早く吸収されます。吸収されてからの機能は、食べ物として摂取しても錠剤やドリンクで摂取しても変わりません。また、サプリ
メントで摂取する際は、バランスよくとることも重要です。

Q:お弁当の表示に「調味料(アミノ酸)」とありますが?

これは、主にうま味調味料のことです。調味料として用いられるアミノ酸、核酸、有機酸、無機塩類などを一括表示するための表示方法として、厚生
労働省により定められています。

Q:アミノ酸って、食べだめておくことができますか?
一度に大量のアミノ酸を摂取したとしても、余分に取りすぎたアミノ酸は、分解されて体外に排出されます。アミノ酸は、体内にためておくことは出
来ないのです。ですから、毎日、新しいアミノ酸をバランスよく、十分に摂取することが必要になります。ですから食事で新しいアミノ酸を十分に補
給しましょう。栄養が偏り、不足しがちなときは、サプリメントも有効です。

Q:点滴の中身がアミノ酸って本当ですか?
点滴液のすべてにアミノ酸が含まれているわけではありません。が、口から栄養が取れない患者さんのための輸液などには、アミノ酸は欠かすことの
できない成分として含まれています。

Q:アミノ酸を他の薬と組み合わせても大丈夫ですか?
アミノ酸は、通常の食事にも含まれている成分ですので基本的には問題ありませんが、一度、医師・薬剤師にご相談ください。

Q:アミノ酸は、幼児や妊婦が摂取しても大丈夫ですか?
基本的には問題ありません。ただ、妊婦の方の栄養摂取については、医師または薬剤師にご相談ください。

12.良質なアミノ酸のメリット
予防と回復に、良質アミノ酸のメリット
①貧血しにくい ⑪骨が劣化しにくい
②血圧が正常に保たれる。 ⑫虫歯になりにくい。
③ホルモン分泌が正常に保たれる。 ⑬疲労しにくい
④細菌やウイルスに感染しにくい。(免疫力が強くなる) ⑭公害や薬害に強くなる。(抵抗力が増す)
⑤内臓障害が起こりにくい。 ⑮しわになりにくい
⑥内臓が下垂しにくい。 ⑯老化を減速する。
⑦筋肉が劣化しにくい。 ⑰消化不良をおこしにくい。
⑧姿勢が悪くなりにくい。 ⑱食不振になりにくい。
⑨リウマチになりにくい。 ⑲傷の治りが早い。
⑩出血が止まりやすい。 ⑳ストレスに強い。



参考文献 LL誌Vol.37No.2、LL誌Vol.40No.2(発行所:社団法人 日本薬局協励会)




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